その翌週下北沢で

実家のある愛知県に暮らすようになって

1年と3ヶ月のころ

 

出会ったばかりの音楽がとても好きだ

という女の子に、自分は演奏の

パートナーを探している、という

話をしたら、

 

京都に住む渥美さんというギタリストは

どうだろう?

 

という提案があった。

 

その週か翌週だったかに

京都で演奏があるから聴きにいかない?

と誘われたけれど、その日ではなくて

その後すぐの東京での演奏を聴きにいく

ことにしたのだった。

 

つぼぐちピアニストとのデュオの演奏を

聴いてすごく興味をもち、

邦楽の活動をしているという話も

もっと聞きたくて、その翌週の下北沢での

ジャムセッションにいくことにした。

 

なんだかしかし、人の集まるところに

いくことにまだ抵抗がある時期だった

からだと思うが、

最後に尻込みをして

もう最後の1曲で終わり、

みたいなタイミングでしか

到着できなかった。

 

一曲歌わせてもらって、でも

そんなことより、このアーティストの

話を聞きたいという思いで

いっぱいだった。

 

そして結構長い間話をした。 

邦楽2.0という取り組みについてとても

饒舌に語る渥美くんの話に

じっと耳を傾けた。

 

そして、たまにコメントや質問を挟むと

とても丁寧にその言葉を捉えて返事を

してくれるとても真摯な姿勢に

私はすっかり安心感を覚えた。

 

もう閉店閉店間近の店を後にして

店の前の坂道を挟んだ向こうに

停めてあるプリウスに乗り込む

渥美くんとお別れした。

 

 

 

 

渥美くんとの出会い

私が渥美くんに出会ったのは2017年の7月のはじめ。

 

それは、私が19歳でアメリカに渡り、18年後に

帰国した翌年のことだ。

 

帰国した経緯を簡単にまとめると、12年間

日系企業で自分に合わない仕事を一生懸命

やりすぎてバランスを崩したあげくに

自殺未遂をし、大きな怪我をしたために

親の世話にならないと暮らせなくなったから。

 

 

1年半くらいの療養生活を経て、大人になって

はじめて暮らす日本で

音楽に対してどん欲にインプットしながら

一緒に表現活動ができるパートナーを

探していた。

 

その日は渋谷のSaravaというライブ会場で

彼の演奏を聴いた。

 

つぼぐちさんというピアニストとのデュオという

セッティングだった。

 

演奏中、つぼぐちピアニストと音で会話をする

渥美くんを

 

へえ、そんなことも言うわけね

そんな聴きかたでそんな返しをするわけね

 

と思いながら眺めていたのを覚えている。

 

終演後、CD売り場にいる彼に声をかけ

自己紹介をした。

 

翌週下北沢でジャムセッション

があるのでどうか

まあ、名古屋からだと難しいよね

 

と言ってくれたので、

 

行くかもしれない、と答えて

その日はお別れした。

 

それが私と彼との出会いだった。